指しゃぶりなどの悪習癖とかみ合わせについて

先日、中央保健センターで開催された「母と子のふれあいフエスティバル」で矯正相談を担当しました。
その中で、数人のお母さんからお子さんが指しゃぶりを止めないのでかみ合わせが変にならないか心配だという声を聞きました。実際、子どもによく見られる指しゃぶりはもちろん、くちびるをかむ癖、飲み込む際に舌を突出させる癖などはかみ合わせに悪い影響を与えることがあります。
まず幼児の指しゃぶりですが、3歳くらいまでは生理的なものと考えられますので、あまり心配する必要はありません。しかし、4,5歳で前歯がかみ合わなかったり、出っ歯になってきていたら、本人に自覚させて、止めさせるようにしたいものです。指しゃぶりの強さや程度にもよりますが、通常この時期に止められれば心配なく、かみ合わせの変化もだんだんと元に戻ります。
次にくちびるをかむ癖についてですが、下くちびるをかむことが多いと出っ歯になってしまうことがあります。逆に上くちびるをかむことが多いと受け口になったりもします。くちびる以外のタオルや鉛筆などでも同様の変化が起きますから注意が必要です。
また、一日に行う飲み込みは3000回ほどと言われていますが、その度ごとに舌を突出させていると、歯に間欠的な矯正力を加えているのと同じ現象が起きてしまいます。すなわち舌のカで歯が前方に押し出されて出っ歯やすきっ歯になったり、歯が押し下げられて上下的にかみ合わない開咬になったりします。この場合には、矯正装置で舌の突出を防いだり、舌を含めた口の周りの筋肉のバランスがとれていなければ筋機能訓練というトレーニングをすることになります。 小学校に入ってもこのような癖が残っていたり、その癖によりかみ合わせに異常があると思われる場合には、早めに専門医に相談することをお勧めします。