厚生労働省が平成28年に行った歯科疾患実態調査において、12~15歳の28%に叢生、10%に空隙があったというデータが示しているように、最近では多くの子供が歯並びの問題を抱えています。子供に見られる歯並びの異常すなわち不正咬合は、叢生、開咬、空隙歯列、上顎前突、反対咬合、交叉咬合、過蓋咬合、埋伏歯、先天欠如歯など様々です。成長期の適切な時期に矯正治療を始めることで、歯列の拡大による永久歯の萌出スペース確保、悪習癖の除去、あごの骨の成長コントロールなどが可能になります。その結果、将来的に矯正のため抜歯する確立が低くなり、治療方法の選択肢が増えることで無理なく治療が進められ、調和のとれた顔貌を得やすくなるなどいろいろなメリットがあります。
 

治療を始めるのに適した時期

子供の場合、矯正治療の開始時期は永久歯の前歯が生え揃う7,8歳頃が一般的です。例外として反対咬合では、乳歯列期の3歳頃から歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)を使って、口腔周囲筋のバランスを整える矯正前治療を行うこともあります。子供の治療は、歯の交換やあごの骨の成長バランスを考慮するため比較的長期間にわたることが多く、通常2期に分けて行います。先ずは乳歯と永久歯が混在している12歳くらいまでに1期治療、そのあと永久歯列が完成する13歳くらいから2期治療を行います。1期治療では、比較的シンプルで歯磨きが簡単な取り外し式のプレート装置(バイトプレート、エクスパンジョンプレート、バイオネーターなど)や、歯の裏側に付ける目立たない線矯正装置(リンガルアーチ、クアドヘリックスなど)を装着し、月に1回程度の通院で、部分的な不正咬合の改善や、永久歯に交換する際のスペースの確保、あごの骨の成長コントロールを行います。その後は、必要に応じて2期治療(マルチブラケット治療)により個々の歯の位置不正を改善します。治療期間は、不正咬合の種類や程度、装置の種類や使用状況などによっても異なりますが、15歳から18歳くらいまでの通院が必要です。その他、受験や転勤なども考慮して治療を開始することが大切です。

反対咬合治療例 : MUH shield (ムーシールド)使用1 

  • 反対咬合治療例 : MUH shield (ムーシールド)使用1
  • 反対咬合治療例 : MUH shield (ムーシールド)使用2
  • 反対咬合治療例 : MUH shield (ムーシールド)使用3
歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)による反対咬合の治療例:3歳(女児)
  • 主訴:前歯のかみ合わせが反対で気になる。
  • 診断:骨格性反対咬合の症例。
  • 概算費用:約8万円(税別)
歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)により、1年2ヶ月(12回通院)の予防矯正治療を行いました。治療中はきちんと毎晩装置を装着し、口腔周囲筋のバランスを取るように指導しました。装着時間が短いと効果が表れない可能性もありましたが、一生懸命に頑張ってくれたため、4ヶ月で前歯の反対咬合は改善されました。骨格性反対咬合の場合には思春期頃に再び下顎の成長量が大きくなり反対咬合に再発してしまうこともあるので、長期間経過観察するなど注意が必要です。

矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について

 

治療が必要な歯並びのタイプ

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叢生(そうせい)

歯と比べてあごの骨が小さい場合が多く、でこぼこな歯並びの“叢生”。見た目の問題の他、歯磨きが難しいため虫歯や歯肉炎にもなりやすいです。7,8歳の適切な時期から、エクスパンションプレートやクアドヘリックスなどの装置を使い歯列を拡大することで、2期治療で抜歯になる確率が低くなります。

叢生1
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開咬(かいこう)

奥歯を咬んでも上下の歯がかみ合わない“開咬”。指しゃぶりや、飲み込む時に舌を突き出す癖、口呼吸などが原因で、早めに原因を取り除くことが大切です。アデノイドや耳鼻疾患と関係して、あごの骨の成長に問題を起こすこともあります。食べ物を上手くかみ切れないため、消化不良にもつながります。

開咬1
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空隙歯列・正中離開(くげきしれつ・せいちゅうりかい)

隣り合う歯と歯の間に隙間がある“空隙歯列”。その中でも上あごの前歯の真ん中に隙間がある状態を“正中離開”といいます。空隙歯列は、歯とあごの大きさの不調和、舌突出癖、先天欠如歯、埋伏歯などが主な原因です。上唇の裏側にある上唇小帯の付着異常や、上唇小帯強直症は、正中離開を引き起こす原因となります。食べ物が挟まったり、発音が不明瞭になったりすることもありますが、子供では特に気にならなければ永久歯の犬歯が生える10歳ころまで定期観察します。

空隙歯列・正中離開1
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上顎前突(じょうがくぜんとつ)

指しゃぶりや下唇をかむ癖の他、下あごの劣成長などが原因で、横から見て上あごの前歯が出ている“上顎前突”。 前歯の向きだけが問題の場合、あごの骨にも問題のある場合などがありますので、上下のあごの成長バランスを改善出来る8歳ころからの治療が最適です。下あごの劣成長が原因の場合バイオネーターという取り外し式の装置を、一日に14時間くらい装着して下顎の成長を促します。見た目の問題の他、口が閉じにくく歯肉炎になりやすいこともあります。

上顎前突1
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反対咬合(はんたいこうごう)

かみ合わせた時に下の前歯が上の前歯より前に出ている“反対咬合”。前歯の生える方向の問題だけの比較的簡単な場合もありますが、上あごの劣成長や下あごが過成長など遺伝的な影響を受けている場合には、長期間の管理が必要になります。治療に最適な時期は、7、8歳の前歯が永久歯に生えかわった頃です。上あごは10歳までに95%程度成長が完了してしまうので、リンガルアーチやスライディングプレートなどを使って、早めに前歯の被蓋を改善します。骨格的なズレが大きい場合には、夜間にチンキャップやフェースマスクといった顎矯正装置を使用することもあります。最近では3、4歳くらいの乳歯列期に、歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)というシンプルな装置を1年ほど使って、口腔周囲筋のバランスを取る矯正前治療を行うことも多くなっています。

反対咬合1
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交叉咬合(こうさこうごう)

歯をかみ合わせた時、上下の奥歯のかみ合わせが左右的にズレている“交叉咬合”。左右どちらかの片側ばかりで食べ物をかむ癖、頬杖、うつぶせ寝などが原因で、成長と共に顔が曲がってくる場合もあります。7,8歳の適切な時期から、エクスパンションプレートやクアドヘリックスなどの装置を使い、上あごの歯列を拡大することで、下あごの偏位を是正します。

交叉咬合1
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過蓋咬合(かがいこうごう)

かみ合わせた時に下の前歯が上の前歯に隠れて見えないほどかみ合わせが深い“過蓋咬合”。乳歯の早期喪失や、虫歯による奥歯の崩壊、食いしばりなどが原因です。下の前歯で上の歯肉を傷付けたり、発音がこもって聞き取りにくかったり、下あごの成長を妨げたりといった悪影響を及ぼします。8歳くらいから取り外し式のバイトプレートを付けてかみ合わせを浅く誘導します。

過蓋咬合1
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埋伏歯(まいふくし)

永久歯が乳歯の交換時期になっても萌出しなかったり、乳歯が抜けても永久歯があごの骨の中で止まっている状態の“埋伏歯”。歯の大きさや萌出方向、遺伝、先天異常などの原因があります。数年間レントゲンで歯の動きを確認し、変化がないようなら埋まっている歯に金具を付けて引っ張り出します。

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先天性欠如歯(せんてんせいけつじょし)

生まれつき永久歯の数が足りない“先天性欠如歯“。日本小児歯科学会が全国の7歳以上の子ども約1万5000人を調べた結果でも、生まれつき歯が足りない子どもが10%ほどいるとのことです。永久歯の先天性欠如により歯並びに影響がある場合には、スペース閉鎖を行ってきれいな歯並びにします。

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栄養バランスの取れた規則正しい食生活を送り、きちんと歯磨きの習慣をつけましょう。乳歯には食物をかむ以外に永久歯が生えてくるスペースを確保する役割もあるため、乳歯の虫歯はでこぼこな歯並びの原因になります。万が一、早くに乳歯が抜けてしまったら、歯科医院でスペース確保をしてもらいましょう。

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食事の際に大事なことは、両足を床にきちんとつけて姿勢を正しく、左右両方の奥歯を均等に使って食物(特に固いものでは無く、ビーフジャーキー、スルメ、穀物などが良い)を一口30回程度、すり潰すようにかむことです。そうすることであごがバランス良く発達します。また、テレビを見るために顔を横向きで食事することも要注意です。左右のどちらか同じ方向ばかり向いて食事をすると、左右均等にかむことが出来なくなるからです。

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子供の頃の習癖は歯並びにも影響を与えます。幼児期の指しゃぶりは、3才くらいまでなら生理的なものと考えられるので心配する必要はないですが、4才以降で前歯が咬みあわなかったり、出っ歯になってきていたら止めさせるようにしましょう。指しゃぶりの強さや程度にもよりますが、この時期にやめることが出来れば、かみ合わせの変化も元に戻ることが多いようです。また、飲み込む時に舌を前に押し出す癖では、舌圧によって前歯が飛び出したり、上下の歯がかみ合わなくなってしまいます。飲み込む時には奥歯をしっかりかんで飲み込むように教えてあげましょう。その他、うつ伏せ寝や、頬杖なども下あごの成長方向に影響を与えるため好ましくありません。 アデノイドやアレルギー性鼻炎などで鼻呼吸ができなく、口呼吸ばかりしていると下あごの成長方向が下方へと変わり、かみ合わせにも影響を与えることがあります。そのような場合には、きちんと鼻呼吸が出来るように耳鼻科の医師にも相談しましょう。