マルチブラケット矯正とは?

矯正治療はさまざまな装置や方法が開発され、見た目やライフスタイルに合わせて選択できるようになりました。その中でも、定番の治療法とされる表側のマルチブラケット矯正が進化を遂げてきています。今回、矯正治療の基本となるマルチブラケット矯正の仕組みや特徴、他の治療方法との違いに加え、メリット・デメリットを紹介します。治療の流れや費用、よくある質問についてもご説明しますので参考にしてみてください。

マルチブラケット矯正とは?矯正治療への理解を深めましょう。
マルチブラケット矯正は、歯列矯正の方法の一つです。金属やセラミックでできたブラケットと呼ばれる矯正器具を、一本一本の歯に歯科用接着剤で装着します。その上でブラケットの溝にワイヤーを通して歯の移動を行い歯並びを変化させていきます。マルチブラケット矯正の特徴は様々な症例に対応可能なことです。
なお、マルチブラケット装置の種類はいくつかあります。装置により素材や見た目、治療期間や費用などが異なるため、違いを理解してから治療を始めると良いでしょう。
メタルブラケットは金属を使用しているため一番耐久性があり、治療し易いのが特徴です。また費用は比較的安く済むものの装置が目立つのがデメリットです。セラミックブラケットはブラケット自体が透明で、目立ちにくいメリットがありますが、費用は若干高めになります。リンガルブラケットは歯の裏側に付ける矯正器具です。そのため矯正していることを他人に知られたくない思春期の方や社会人にも人気です。ただし、表面にブラケットをつける場合に比べて費用が高くなることがデメリットと言えます。最近ではデーモンシステム、ジーニアスシステムなどセルフライゲーティングブラケットは、シャッター式の特殊なブラケットを使用して小さい力で矯正が可能になる装置です。歯の移動が比較的早く、矯正中の痛みを抑えられる点もメリットとされます。

【マルチブラケット矯正とマウスピース型カスタムメイド矯正(インビザライン)との違い】
マルチブラケット矯正と比較されることが多いのが、マウスピース型カスタムメイド矯正(インビザライン)です。透明なプラスチック素材で作られたマウスピースの交換を繰り返しながら歯を矯正する方法ですが、対応できる症例の範囲はマルチブラケットに比べて狭くなります。マルチブラケット矯正は治療期間中に矯正装置を外すことができませんが、マウスピース型矯正は食事や歯磨きなどの際に装置を外せます。マウスピースは1日20時間以上装着しないといけないため、自己管理が大切です。

【マルチブラケット矯正のメリットとデメリット】
マルチブラケット矯正のメリットは、他の矯正治療では難しいとされる症例にも比較的治療費を抑えて対応可能なことです。金属に代えて白や透明のブラケットを使うと、目立たない矯正を実現できます。マルチブラケット矯正のデメリットは、マウスピース型カスタムメイド矯正(インビザライン)と比べてが装置が目立つことです。ブラケットの周りに汚れが付き、虫歯や歯肉炎などの原因になる場合もあります。また金属アレルギーの患者さんには使えないこともあります。

【治療の流れや費用について】
マルチブラケット矯正治療は、患者さんの悩みを聞くことから始まります。治療の希望をヒアリングしながら、お口の状態をチェックし、治療計画を立てるために精密検査を実施します。精密検査では、あご全体のレントゲンに加え、あごの形やずれを把握する頭部のセファログラム、かみ合わせ検査、口腔内や顔面の写真撮影などを行います。検査データを元に作られた治療計画に患者が同意すると、いよいよマルチブラケットが装着されます。
治療開始の段階で、マルチブラケット装着時の歯磨きの仕方や、粘膜の痛みを緩和するワックスの使用方法が伝えられます。矯正治療中は1ヵ月から2か月に1度ほどの通院が必要です。通院時にワイヤーを調整を行います。歯並びやかみ合わせが整うと歯を動かす治療は終了しますが、後戻りを防ぐためにリテーナーと呼ばれる保定装置を付けます。保定の期間を含めて矯正治療期間と考えると良いでしょう。

【治療にかかる費用】
マルチブラケット矯正治療の費用はどのような装置を使うかにより異なります。例えば、成人の患者さんがデーモンシステムで2年間の治療を受ける場合、治療費用は約80万円です。

【マルチブラケットに関してよくある質問】
Q.子供でも治療を受けられますか?
A.マルチブラケットの治療は、親知らず以外の大人の歯が生えそろった段階で開始できます。最後に生え変わる永久歯は12歳頃とされるため、通常中学生以降の方が治療の対象になります。

Q.治療期間は?
A.平均して2年~3年ほどです。ただし、人により歯の動きやすさが異なるため、治療期間が短くなる方もいますし、逆に長くなる方もいます。

Q.抜歯は必要ですか?
A.抜歯が必要なケースもありますが、すべての人に抜歯が必要というわけではありません。歯列の凹凸や歯の出っ張りが大きく、口元の突出を改善したり閉じやすくしたい場合は抜歯してから矯正することが多くなります。